色と形と音の瞑想





ヨーロッパの白色人種

モンゴル人が中脳をおもに使用するのに対して、ヨーロッパ人は前脳を用いねばなりません。後脳を使う者は、特に衝動・本能
を有します。中脳を使う者は、感情のいとなみを有します。感情のいとなみは胸部に場を占めます。ヨーロッパ人は、頭に場を占
める思考を有します。そのためにヨーロッパ人は、内的な人間をまったく感じません。ヨーロッパ人が頭を感じるのは、頭痛がす
るとき、病気になったときのみです。それ以外のときは、ヨーロッパ人は頭を感じません。

そのために、ヨーロッパ人は外界全体を受け取り、容易に唯物論者になります。黒色人種は唯物論者になりません。黒色人種
は内的な人間にとどまります。黒色人種は内的に衝動を発展させます。アジア人も唯物論者になりません。アジア人は感情の
いとなみにとどまります。アジア人は、ヨーロッパ人のように外的な生活を気にかけません。「ヨーロッパ人はエンジニアにしかな
れない。外的な生活のみに関わっている。ヨーロッパ人は前脳を発展させねばならないので、もっぱら外界に注意を奪われる」
と、アジア人は言います。(P41-P42)
(関連ページ)  いま、シュタイナーの「民族論」をどう読むか-日本人の唯物論は欧米人の唯物論を凌駕してしまうだろう


アメリカ人
 
「白色人種はどこにでも行ける。アメリカにも行ける」と、言うことができます。アメリカに住んでいる白色人種は、すべてヨーロッ
パから移住してきた人々です。白色人種がアメリカに来たわけです。ヨーロッパでは、すべてを内面で発展させる人間が形成さ
れます。アメリカに来ると、何かが起こります。後脳が利用されなくてはならなくなるのです。ヨーロッパでは、ヨーロッパ人はおも
に前脳を使っていました。アメリカでは、黒色人種は繁殖せず、壊滅します。アメリカに行くと、頭のなかで前脳と後脳との戦い
が生じます。

アメリカに引っ越すと、その家族の子孫はだんだん腕が長くなっていきます。ヨーロッパ人がアメリカに定住すると、脚もいくらか
伸びます。もちろん移住した人自身ではなく、子孫の腕と脚です。ヨーロッパ人がアメリカに来ると、中脳を通過して後脳へと引
かれるからです。

しかし同時に、アメリカ人には独特のことが生じます。ヨーロッパ人は思想家になると、まったく自分の内面に生きます。思想家
にならないでも、確かに熟考しますが、その場合は思考活動は果たし尽くされません。しかし、ヨーロッパ人がアメリカに行くや
いなや、もはやじっくり考えなくなります。

ヨーロッパの本を読むと、いつも証明がなされています。証明からまったく抜け出ていません。四百ページの本を全部読んでも、
証明しか書かれていません。小説でも、常に証明がなされています。四百ページの本の最後では、たいてい何も証明されてい
ません。アメリカ人はそうはしません。アメリカの本を読むと、あらゆる主張がなされています。本能に近いところに、繰り返し戻り
ます。動物はそもそも、何も証明しません。ライオンは、他の動物を食べようとするとき、その正当性を証明しません。ただ食べま
す。ヨーロッパ人は、何かを行おうとするとき、まず、その正当性を証明します。すべてが、まず証明されなくてはならないので
す。ヨーロッパ人は証明し、アメリカ人は主張します。これが、ヨーロッパ人とアメリカ人との大きな違いです。

しかし、アメリカ人が主張することは真実ではありえない、と言うことはできません。彼らは全身で主張します。これが、アメリカ
人がヨーロッパ人に勝っている点です。アメリカ人は一方では、滅亡していくインディアンに接近します。人間は滅亡しはじめると
賢くなります。ヨーロッパ人はアメリカに来ると、賢くなって、証明をやめます。

証明への欲求は、前進をもたらす特性ではありません。朝、何かをすべきときに証明しはじめ、いつも証明すべきことがまだある
ので、夜眠るときになっても、まだ実行できません。アメリカ人は、そんなことはしません。アメリカ人は証明する練習・訓練をして
いないのです。ですから、さしあたりアメリカはドイツに勝ります。

太陽は常に光と熱を地上に送っています。いま、春分点は魚座にあります。それ以前は、春分点は牡羊座にありました。後に
は、春分点は水瓶座に移ります。そのとき、本当のアメリカ文明が成立するでしょう。それまで、つぎつぎと文明がアメリカに向
かっていくでしょう。今日すでに、アメリカ人が強大になり、ヨーロッパ人がだんだん無力になっているのを、見ることができます。
ヨーロッパ人は自分の土地をもはや理解していないのです。(1923年の)いまヨーロッパは平和ではありません。全文明がアメ
リカへと向かいます。ゆっくりした歩みながら、春分点が水瓶座に入ると、アメリカ文化が特別に力強くなるのに好都合なように、
日光が地上に降り注ぎます。その前触れが、今日すでに見られます。

ヨーロッパでは、人智学が発達できます。私たちは人智学を、精神から発展させねばなりません。人種の特徴からの発展では、
もはやどうにもなりません。精神から人智学を発展させねばなりません。ヨーロッパで精神よりも人種にこだわる人々が、ヨーロ
ッパを不幸に突き落とします。

アメリカ人は今日まだ、そのような必要はありません。彼らはまだ、人種の特徴に支えられています。こうしてアメリカでは、奇妙
な方法で不思議なことが起こります。注意深くアメリカの本を読み、注意深く国会演説を聞くと、今日アメリカで起こっていること
が理解できます。「おやまあ、こりゃたまげた。まったく奇妙なことだ。ヨーロッパでは、精神から人智学が形成されている。アメリ
カでは人智学の模造品が作られている」と、思われます。その模造品は、すべて唯物論になります。アメリカ文化はヨーロッパ
の人智学に似たものを有しています。ただアメリカでは、すべてが模造品で、まだ生命的ではありません。ヨーロッパでは、精神
によって人智学を生命的にできます。アメリカでは、人智学を本能から取り出します。

このアメリカの模造品が語りはじめるときが、いつかやってきます。そうなったら、ヨーロッパの人智学によく似たことを語るでしょ
う。「ヨーロッパでは、精神的な方法で人智学が形成される。アメリカ人は人智学を、自然な方法で形成する」と、言うことができ
ます。ですから、私は人智学を説明するときに、「これは人智学的です。それはアメリカ的な戯画です。人智学の戯画です」と示
唆できます。

狂信者は、内的ないとなみをとおしてではなく、熱狂的に人智学に親しみます。そうして狂信者は、アメリカ主義を強烈に罵りま
す。人間が猿を罵倒するのは、猿が人間に似ているからです。これは漫画です。ヨーロッパで精神的に達成されるものと、アメリ
カで自然な方法で達成されるものとのあいだには、北極と南極のような差異があります。

アメリカの自然科学の本は、ヨーロッパの自然科学の本とはまったく別物に見えます。アメリカの自然科学の本は、絶えず霊に
ついて語りますが、霊を粗雑に物質的に表象しています。ですから、近代の心霊主義はアメリカで発生したのです。心霊主義は
何を行っているのでしょうか。霊について語り、霊を雲のような現象だと思っています。すべてが雲のように現れてほしい、と思っ
ているのです。ですから、心霊主義はアメリカ製です。心霊主義は唯物論的な方法で、霊を研究します。

アメリカでは、精神への途上で、唯物論が猛威を振るっています。ヨーロッパ人は唯物論者になると、人間としては死にます。ア
メリカ人は若い唯物論者です。本来、子どもは最初、みな唯物論者です。そして、唯物論的でないものへと成長していきます。
そのように、アメリカの極端な唯物論は、太陽が水瓶座から昇るとき、精神的なものへと成長していくでしょう。

このように、ヨーロッパ人がどのような課題を持っているかが分かります。アメリカ人を罵るのがヨーロッパ人の課題ではありませ
ん。ヨーロッパ人は、最良のものから構成された文明を、全世界に築かなくてはなりません。

アメリカ的なヨーロッパ人であるウィルソン大統領に一杯食わされた、バーデンの王子のようにものごとを考えると、うまく行きま
せん。ウィルソンは生粋のアメリカ人ではありません。彼の理論(民族自決主義[参考])は本来、すべてヨーロッパから受け取っ
たものです。そのために、彼は不毛な理論を作りました。真性のアメリカ主義が、精神的な方法でものごとを見出すヨーロッパ主
義と、いつか結び付くでしょう。このような方法で研究すると、世界でどのように行動すべきかが分かります。
(P46-P52)
 (関連ページ) 悪の秘儀-彼はヨーロッパ人として出現する


惑星の軌道は螺旋状であり、その中心線が太陽の軌道である

ご存じのように、惑星は一定の速度で太陽のまわりを巡っています。しかし、太陽も動いています。太陽の動きが、惑星の動き
とともに、秘教的な天文学者によって研究されてきました。研究の結果、太陽は神霊的な中心のまわりを動いていることが分か
りました。惑星の軌道は螺旋状であり、その中心線が太陽の軌道であることが分かりました。個々の惑星が軌道を進む速度に
は、一定の調和的な関係があります。この関係が音となり、交響曲になります。その交響曲を、ピュタゴラス派の人々は「天球
の音楽」と名付けました。この和音・音楽は宇宙の事象の模像です。ピュタゴラス学派が教えているのは、頭をひねって考え出
したものではありません。

古代の秘教的な天文学者たちは、「星天は静止しているように見える。だが、実際には動いており、神霊的な中心点のまわり
を、100年で〈1度〉前進する速度で巡っている」と、思いました。諸惑星の速度はつぎのようになっています。

土星の速度=木星の速度の2.5倍
木星の速度=火星の速度の5倍
火星の速度=太陽・水星・金星の速度の2倍
太陽の速度=月の速度の12倍

土星の速度は、星天全体の速度の1200倍です。つまり、1年に〈12度〉前進します。(P66)
(関連ページ) 教育芸術2-宇宙は螺旋を描く