ゴルゴタの秘儀





ヒラム=ラザロ=ローゼンクロイツ=サン・ジェルマン

シュタイナーは『神秘的事実としてのキリスト教と古代の密儀』で、福音史家ヨハネは、「ヨハネ福音書」に登場するラザロと同一
人物である、と看破している。「ヨハネ福音書」で、ラザロが死後四日経って、イエスによって蘇ったのは、ラザロの秘儀参入を表
しているというのである。先に述べたように、古代の密儀においては、参入者は三日半、仮死状態に置かれ、その状態で天界を
体験する。そして導師によって目覚めさせられる。同じことを、ラザロはキリストを導師として体験したというのである。

十二使徒の一人、ゼベタイの子のヨハネは、ゴルゴタの出来事の数年後にエルサレムで死んでいる。福音書を書いたヨハネ(ラ
ザロ)は長生きし、エフェソスで活動した。彼はローマで、煮えたった油のなかに投げ込まれても死ななかったし、毒を飲まされ
ても死ななかった、と言われている。

シュタイナーは、福音史家ヨハネの転生を語っている。

ヨハネの前世は、ヒラムである。カインの血を引く建築家で、ソロモンの神殿の設計者として知られる。

13世紀に、アトランティスの七つの神託の叡智と、インド文化期・ペルシア文化期・エジプト文化期・ギリシア文化期・ゲルマン文
化期の叡智を担った、計12人の人々がある少年を育てた。ある日、その少年が仮死状態に陥ったとき、彼らは自分たちの有す
る叡智を語り聞かせた。やがて、この少年は死に、14世紀に薔薇十字団の創始者クリスティアン・ローゼンクロイツとして生まれ
変わる。

ローゼンクロイツが、福音史家ヨハネの生まれ変わりである。東方に赴いたローゼンクロイツは、パウロと同じようなキリスト体験
を、ダマスカスでしている。また、ローゼンクロイツはキリストのコピーを受け取った、とシュタイナーは見ている。

ついで、彼はサン・ジェルマンとして登場する。「不死の人」と言われた人物である。ヨハネについても、「この弟子は死なないと
いう噂が、兄弟たちのあいだに広まった」(「ヨハネ福音書」21章)と記されている。(P126-P127)
(関連ページ) 神殿伝説と黄金伝説-カリオストロ伯爵とサン・ジェルマン伯爵とフリーメーソン  いかにして前世を認識するか-クリ
スティアン・ローゼンクロイツの呼び声