仏教論集





仏陀と太陽系

かつて、地球と太陽が合体していた状態があった。その後、地球と太陽は分離し、さらに月が分離した。太陽が地球から分離し
たとき、金星と水星はまだ太陽のなかにあった。その後、金星と水星は太陽から分離したのである。太陽が地球から分離したと
き、さまざまな存在たちも太陽とともに地球から離れていった。これらの存在の導き手はキリストである。その後、金星が太陽か
ら分離し、水星が太陽から分離した。太陽とともに地球から去っていきながら、太陽にとどまることのできなかった諸存在が、金
星とともに太陽から去っていく。この金星の住人のために、キリストから金星に遣わされた存在、太陽から遣わされた存在が、の
ちの仏陀である。キリストは仏陀を金星に遣わし、仏陀は金星で進化を遂げていった。

地上の人間はキリストによって危機から解放されたのだが、火星にとどまった人間たちは危機に面していた。火星人間は個我を
特に発展させておらず、アストラル体、そして間接的にエーテル体が恐ろしく干からびる危機に面していた。火星で恐ろしい戦争
が勃発していたのである。地球上の人間はコスモポリタンであるが、火星上の人間は大地に執着していて、コスモポリタンはご
くわずかだった。そのために、戦い・争いが多い。それらは、個我によって静められていない強烈なアストラル体を通じて生じた
のである。火星は一種の再受肉した太初の月(前宇宙の月)であり、アストラル体のなかにあるものが個我によって和らげられ
ておらず、火星の人間たちは非常に好戦的である。

慈悲と愛の導師、カースト制克服の導師である仏陀の生涯の続きを考えると、仏陀が火星に使命を有することが理解できる。人
間だけでは達成できない、途方もない敬虔さ・謙虚さ・柔和さを火星人間に作用させるという使命である。個我なしに生きる火星
人間にとって、仏陀の働きは高次の世界観への解放者・救済者のようである。地上では友愛と隣人愛が深い衝動においてキリ
ストに関連しているように、コスモポリタン主義は火星で仏陀が果たす救済の行為と関連している。(P78-P79)


火星における仏陀の行為

16世紀末に、ある会議が開かれ、クリスティアン・ローゼンクロイツも参加した。地上に受肉している人々とともに、神霊世界の
生命存在たちも参加した。そのなかには、紀元前6世紀にゴータマ仏陀として地上に生きた存在も含まれていた。

仏陀はふたたび肉体に受肉することはないが、霊的世界からたえず慈悲を注ぎかけて、地上への働きかけを続けている。「ルカ
福音書」に記されている、野宿している羊飼いたちのまえに現れ、「天の高みにおいて霊は示現し、地上において善意の人々に
平和があるように」と語った天使は仏陀である。霊的世界から、仏陀の力がイエスのアストラル体に流れ込んだ。この言葉は、イ
エスのアストラル体のなかに働いていた仏陀から発せられたのである。キリスト教は仏陀から、この平和と愛の言葉を与えられ
る必要があった。その後も、仏陀は霊的世界から働きをつづけ、人類の進化のために、人々の行いに協力してきた。

たとえば、7世紀、8世紀に黒海の近くに秘儀の学院に仏陀は霊体で現れ、秘儀を伝授した。この秘儀の学院には肉体を持った
教師もいたが、上級の弟子たちはエーテル形姿の導師から教えを受けた。この当時の仏陀の弟子たちの一人は、数世紀後、
アッシジのフランチェスコとして再受肉した。アッシジのフランチェスコの性向と人生が仏陀の弟子たちに酷似しているのは、彼
自身が仏陀の弟子だったからである。

実人生に没頭して、食物の確保と機械文明に心を労する人間と、アッシジのフランチェスコのように精神的な人生を送るために
実人生を放棄する人間の二種に、人類が分かれる心配があった。思慮深い精神界は、地上で人類が二つに分裂するという最
悪の事態を避けるために、活動を開始した。

ローゼンクロイツは最もすぐれた存在たちに会議への参加を要請した。傑出した人類の導師である仏陀もこの会議に参加し、あ
る決定がなされた。仏陀が火星におもむくという決定である。仏陀は1604年に火星におもむき、キリストが地球上でゴルゴタの
秘儀を成就したように、火星上で特別の秘儀を成就することになった。ローゼンクロイツは、仏陀の火星上での行為が全宇宙に
とって意義深いものになることを知っていた。仏陀の涅槃と解脱の教えは、特に火星にとって意味深いものなのである。

仏陀の教えは死者たちに特別重要な価値を持っている。火星を浄化するために、仏陀の教えをもたらすことが必要だった。神的
な愛の本質であるキリスト存在は、ただ一度地上に下り、人々を結びつけた。17世紀に、平和の王子である仏陀は戦争と闘争
の星である火星におもむき、火星上の好戦的で凶暴な死者たちに、解脱の教えを浸透させることになった。

神的な愛の本質であるキリストがゴルゴタの丘で行ったのと同じような犠牲行為を、仏陀は火星で行った。火星における仏陀の
行為は、宇宙に捧げられた供儀の行為だったのである。仏陀は火星で供儀に捧げられる神の子羊であり、火星という紛争の世
界で十字架にかけられる。この犠牲行為をとおして、仏陀はローゼンクロイツの仕事を助けた。

火星で仏陀による秘儀が成就されて以来、人間は死後、火星から今までとは異なった力を受けとるようになった。そして、この
仏陀の霊的な行為によって、死者たちが火星から今までとは異なった力を受けるようになっただけではなく、精神界を求めて瞑
想する人にも、火星から仏陀の霊的な力が流れ込むようになった。ローゼンクロイツによって与えられた瞑想を行う者は、火星か
ら送られてくる仏陀の力を受け取るのである。

ゴータマ仏陀の魂は地上の肉体にふたたび受肉することはない。しかし、仏陀はキリスト衝動のために、みずからのすべてを捧
げている。仏陀からイエスに、「天の高みにおいて霊は示現し、地上において善意の人々に平和があるように」という平和の言
葉が送られた。この平和の言葉は、戦いと争いの惑星・火星から地上の人々の魂に響きわたってくる。

もし仏陀が地上にとどまっていたなら、アッシジのフランチェスコのように現実生活から逃れて僧侶になる人々が続出することに
なっただろう。火星における仏陀の贖罪によって、人間は死後火星界を通過するとき、地球への関わりを捨てることなしに、アッ
シジのフランチェスコの弟子になれるようになった。人間はすべて死後、火星界において仏弟子となり、フランシスコ会修道僧に
なるのである。アッシジのフランチェスコはその後もう一度地上に受肉したが、子どものうちに死に、それ以後は地上に受肉して
いない。彼は火星にとどまって仏陀の片腕として働いている。

16世紀末にローゼンクロイツによって開かれた会議の結果、仏陀は火星におもむき、人類が二つに分裂するという事態は避けら
れた。そして、仏陀が火星から送りとどける力によって、修行者は健全な霊的能力を発展させることができるようになったのであ
る。

薔薇十字的な秘教の修行は、社会生活と平行して行いうるものである。仏陀が火星から地球に力を送りとどけるようになって以
来、世俗を捨てずに修道生活ができるようになったのである。(P81-P85)