シュタイナー教育の基本要素




あまりにも早く子どもを利口にすること

できるかぎり早く子どもが人間的−地上的な意味で利口になってほしいと今日の人間は望んでいますが、それはもっとも好まし
くないことです。今日の意味で、子どもが可能な限り早く利口になると、「なんと早く、この子は神から見捨てられたのか」と、い
わなくてはなりません。

子どもが利口になると、今日では大人たちから喜ばれるのに対して、昔の人々はそのような状態を神から捨てられた堕落状態
と見なしていました。今日望まれているような賢い15歳の子どもは、昔はまったく神から見捨てられた、罪の子と見られていま
した。正規の神的−霊的諸力は本来、人間が21歳から28歳のあいだに自我を導き出すことを意図しています。それ以前は、
人間は高次の神的−超感覚的衝動が織り込まれたかたちで行動することが、意図されているのです。子どもは外に向けて夢
想的な生きかたをしています。そのような夢見心地の生活が、神の恵みを受けたものと感じられ、今日のように子どもを早熟さ
せようと教育に努めることはありませんでした。(P166-P167)