人智学指導原則





140 人類の進化を織りなし、人間の意識のなかに「歴史」として、包括的な意味で反映される宇宙のできごとは、長期間にわた
る天界の歴史、それよりは短い神話的歴史、さらに短い地上の歴史に区分される。

141 この宇宙のできごとは現在、自由な知性と自由な意志のなかで創造する神的−霊的存在の「予測できない」働きと、宇宙
体の「予測できる」できごとに分かれる。

142 宇宙体の予測できるできごとに対してはルシファー的諸力が、自由な知性と自由な意志のなかでの創造に対してはアーリ
マン的諸力が立ち向かう。

143 ゴルゴタのできごとは宇宙の愛に由来する自由な宇宙的行為であり、人間の愛によってのみ理解されうる。(P64-P65)

177 魂のまなざしを自然科学の時代の人類の進化に向ける者には、最初、痛ましい見通しが現れる。外界に存在するものすべ
てに関して、人間の認識は輝かしい。それに対して、霊的世界の認識はそもそも可能ではないかのような意識が現れる。

178 そのような霊的世界の認識を人間はただ古代においてのみ有し、霊的世界に関しては古くからの伝統を受け入れ、信仰の
対象とすることで甘んじなければならないかのように思われる。

179 人間と霊的世界との関係に関して中世に生じた不確かさから、唯名論として、諸理念の霊内容への不信が生じた。現代の
自然観照はその不信を継承している。そして、諸理念の実在性についての知として、実在論が発生した。実在論は人智学によ
って初めて成就されうる。(P74-P75)