アカシャ年代記より




われわれの祖先であるアトランティス人

アトランティス人(特にその初期)には論理的思考力がまだ育っていなかったが、その代わり彼らの高度に発達した記憶力はあ
らゆる分野に亙って彼らの活動を独特なものにしていた。しかも人間の能力というものは、決して単独に存在することはない。記
憶力は悟性の力よりも一層人間本性の奥深くにかかわりを持っているが、そのような記憶力を発達させることによって、彼らは
記憶力と関連した別の諸能力をも発達させた。それらの能力は現在の人間の生活能力に較べると、むしろ動物の生活能力に
一層よく似た性質のものだった。

たとえばアトランティス人は生命力と呼ばれているものを統御することができた。今日の人間が石炭から熱エネルギーを取り出
して、それを交通機関の推進力に変えるように、アトランティス人は植物の種子から発芽力を取り出して、これを技術に役立たせ
る方法を知っていた。この方法については、以下に述べる事柄を通して、ひとつの観念を得ることができよう。

植物の種を考えてみよう。この種の中にひとつの力が微睡んでいる。種が発芽し、茎が育っていくのはこの力による。自然は穀
物の種に宿るこの力を目覚めさせることができるが、現在の人間は同じことを自由に行う能力をもっていない。彼にできること
は、種を地中に埋めて、自然の力がそれを目覚めさせるまで待つことだけである。アトランティス人はこの自然力に似た能力を
持っていた。

彼らは、丁度現代人が沢山の石炭の火力を技術的に利用できるように、沢山の穀物の生命力を集めて、これを技術的に利用す
る方法を心得ていた。アトランティス人は食料として利用するためだけではなく、その中に微睡んでいる力を交通と産業に役立た
せるためにも、植物を栽培した。われわれが石炭の中に眠っている力を汽車の推進力に変換する装置を所有しているように、ア
トランティス人は、植物の種子をいわば「焚き」ながら、その生命力を技術的に利用できる力に変換する装置を所有していた。そ
のようにしてアトランティス人は地上からわずかに離れた低空を飛行する乗物を使用した。その高度はアトランティスの山よりも
低く、山を越えるには、逆進装置を利用した。
(P18-P19)